堀井光俊

イギリスのマスク不要論は、よく世界保健機関(WHO)を引用しています。しかし、最近そのWHOに変化の兆しが見られます。4月2日付の記事でBBC科学担当編集長のデイヴィッド・シュクマンは、最新の研究を基にWHOのマスクに関するアドバイスが変わるかもしれない可能性を報じました。 オーストリアでマスク着用が奨励されていることを挙げて「欧州では珍しかったマスクが、見慣れたものなりつつある」と語り、「WHOの新しいアドバイスの内容によっては、この変化はさらに加速するかもしれない」と結んでいます。 そして実際、公衆でのマスク着用に方針を転換をしたのがアメリカの疾病対策センター(CDC)でした。4月4日付のBBCの記事によると、前日3日にCDCは新指針を打ち出し、「自分が具合が悪くなくても、他人にCOVID-19をうつす可能性がある」「たとえば食品など必需品を買いに外出する時には、全員が布で顔を覆うように」と報じられました。 欧州に目を戻すと、オーストリアに加え、フランスやドイツ、チェコなどの国々がすでに健常者による公衆でのマスク着用について「不要論」を撤回しています。しかし、イギリス政府はマスク不要を貫いています。 同記事で紹介されているのが、4月3日にあった英政府の記者会見における専門家の最新見解。イングランド副主任医務官ジョナサン・ヴァンタム教授がマスク使用について質問され、「健康な一般市民がマスクをした場合、社会における病気の拡大に影響するという科学的証拠はない」と回答したことが紹介されました。 WHOは依然としてマスクには否定的で、4月6日付でマスクに予防の効果はないとする「暫定指針」を発表しました。